やっぱり Apel の教科書は、よく読めばわかるようにきちんと書かれていますね。おかげで、段々モーダル記譜法がわかってきた気がします。
少なくともどういう順序で勉強すれば良いかはわかります。
第一段階:モーダル記譜法の基本ルールに従っているディスカントゥス部分。これは誰でもすぐにできます。
第二段階:同じくディスカントゥス部分で、モードが変わるときの連結部分や曲全体の終止部分などのコプラ。ここではモーダル記譜法がだいぶ broken な形で用いられています。ただ brokenとはいってもよく見ると原則の骨格は残っていることがわかることが多いので、「正確な解答」を得ることは不可能にしても、大体の見当は付きそうです。
第三段階:organum duplum (2声のオルガヌム)のオルガヌム部分。この部分は、テノールが聖歌を長く引き伸ばしている上で、ソリストの即興的に歌うような部分で、「モーダル記譜法のルールには必ずしも従っていない」というのが、おそらく、共通の見解でしょう。ただ、どの程度まで「必ずしも…ない」のかが問題でしょう。
モーダル記譜法の勉強しはじめの最初の段階では、たしかにこのオルガヌム部分は全くモーダル記譜法に見えなくても不思議でないのですが、第二段階のコプラの部分を読む経験を多少積んでからだと、かなり違った風に見えてくることがわかります。
すなわち、オルガヌム部分も結構、モーダルなんじゃないかと…。
ただ、Waiteの現代譜をもとにしたマンロウの演奏みたいに、オルガヌム部分もディスカントゥス部分みたいにカチッカチッとしたリズムで急速な三拍子だったというのは、だいぶ変な気がするので、そこはディスカントゥス部分とは違って、ソリストによってゆったり朗朗と歌われていたのだろうと思われます。
それで、以上のような仮説のもとに MIDI を作ってみたのが、昨日 up した Benedicamus Domino だったりします。一応。
- Benedicamus Domino (organum duplum)
- mp3: [mp3, 2.6M]
- MIDI: [GM], [SC-88]
- mp3: [mp3, 2.6M]
(今日、音色を弦からいつもの木管に変えました。)
初期ポリフォニーの曲もそうだけど、楽譜の解読のしかたが確定してないような曲を実際に音にするというのは非常に厄介で、既存の演奏を真似るとか、何か仮設的な原則を作るとかしないと不可能ですね。
ノートル・ダム楽派の2声のオルガヌムについては、以前レオニヌスのオルガヌムを作りかけて挫折した経験があるのですが、今年はこんなかんじでいけないかなぁ…と少し思っています。
MP3聴きました。素晴しいですねー。
この時代の曲は大学時代の西洋音楽史の時間に聴かされたものしか知りません・・・
それもゴシック的なかっちりしたリズムで非常に速いテンポでした。
このようなゆったりした叙情的なのはとても新鮮で、不自然さも無く、とても素晴しいです。
ってことで・・・w
>それもゴシック的なかっちりしたリズムで
>非常に速いテンポでした。
マンロウの演奏だったのかもしれませんね。
最近の演奏では、この曲の前半部分のようなオルガヌム部分を聖歌みたいにやたらと自由なリズムでやりすぎる傾向があって、いまひとつしっくりこない演奏になってることが多い気がします。
なので、オルガヌム部分も基本的にモーダル記譜の三拍子で読んで、だけどリズムを際立たせないようにゆっくり目のテンポで、というのが基本的なアイデアでした。
さすがにここまで古い音楽は、演奏の具体的ことなど決してわかりえないというのがもどかしくもあり、楽しくもありですね。
でもMIDIを作る身としては、限られた情報からも、ある程度当時の様子を想像しながら作っているわけなので、そういう風に言ってもらえるとうれしいです。