2006年06月26日

再び音律についてのメモ

これも備忘のためのメモ。

うちにある音律の参考書、平島達司著『ゼロ・ビートの再発見』(今でもこれが一番の名著でしょうか)に興味深い記述が。

1.「(3)(←ピタゴラス音階のこと)は、純正の五度調弦をする弦楽器の現代奏法では、思いのほか多用されているようです。」p.77.
そうだっだのか…。そうするとフル・オーケストラの演奏ではいくつもの系統の響きが同時に聴かれるのですね。弦のピタゴラス、ブラスの純正、鍵盤が入るなら平均律と。
でも、たしかに言われてみればオーケストラの響きは重層的で流動的かもしれません。

2.「1756年に出版されたレオポルド・モーツァルト(ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの父)のヴァイオリン教則本を見ますと、四本の弦はすべて開放弦から弾き始めるようになっています。このことは、父モーツァルトの時代でも、ヴァイオリンの調弦は、ミーン・トーンに調律したチェンバロのg, d1, a1, e2に合わせたことを物語っています。」p.106.

これもちょっとすごいですね。
ミーン・トーンの五度って純正よりも5.5セント、平均律よりも3.4セント狭くて、私でも「ああ、ちょっと狭いな」と思うぐらいのものですが、それで調律したヴァイオリンは結構違和感あるんじゃないでしょうかね。

それと、現代のギターのフレットの付け方は平均律ですよね。そうすると6弦を正確に純正に取ってしまうとだいぶ「狂う」ことになりますね。だからギターのチューニングをハーモニクスを使ってやると不正確になる、ということで良いのでしょうか? (←誰に訊いているのだろう…。)
posted by まうかめ堂 at 02:16| Comment(8) | TrackBack(0) | 音楽理論

2006年06月25日

ミーン・トーン音律の覚え書き

Byrd の Virginal 曲の MIDI を作るのにミーン・トーン音律を計算する必要がでてきました。(いや、別に平均律のままでもいいんですけどね…。折角の機会なので。)

で、今日計算を実行しました。
備忘のため計算のプロセスをメモっておきます。

Cを基準に取ります。各音の振動数をCを1とした比で表すことにします。
まず5度の積み重ね C-G-D-A-E を考えます。純正の5度で積むとこのEは 81/16 になりますが、これをちょっとずらして E=80/16=5 とすると最初のCとこのEの音程はちょうど2オクターブ+純正長三度になります。

中間の G-D-A はこの「2オクターブ+純正長三度」を四等分することで決定します。
すなわち G=45 (←5の4乗根), D=√5 , A= (45)3.

全ての音程を最初のCから1オクターブの間に置いておいた方が都合が良いので、適当に2のべき乗で割ってやって1から2の間に入るようにしときましょう。すると

C=1, G=45 , D=√5/2, A= (45)3/2, E=5/4.

他の音程はこれら五つの音高から純正長三度だけ上がるまたは下がることによって計算します。(上がるときは5/4を掛ける。下るときは5/4で割る。)
例えば G# は E の純正長三度上なので G#=(5/4)E = (5/4)2 = 25/16.
Eb は G の純正長三度下なので Eb = (4/5)G = 45 ×4/5. 等々。

そのようにして次のような表が得られます。(う〜む、表を入れるとレイアウトが壊れますね。css直すの面倒なのでほっときます。)































G#=25/16D#=45×25/16×1/2A#=√5/2×25/16E#= (45)3/4×25/16
E=5/4B=45×5/4F#=√5/2×5/4C#= (45)3/4×5/4
C=1G=45D=√5/2A= (45)3/2
Ab=4/5×2Eb=45×4/5Bb=√5×4/5F= (45)3/2×4/5
Fb=16/25×2Cb=45×16/25×2Gb=√5×16/25Db= (45)3/2×16/25

註:オクターブの範囲に入るように調整してあります。また、理論上はこの表は上下に無限に続けることができます。
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posted by まうかめ堂 at 00:17| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽理論