新年あけましておめでとうございます。
取り急ぎ新年のMIDIです。
ルネサンス直前のイタリアの Ars subtilior の代表的作曲家, マテウス・デ・ペルージオの Gloria です。
第2声部は fuga と記され, 第1声部をブレヴィス9個分遅れで追いかけるカノンになっています。
イタリア風にカッチャ (Caccia)というべきでしょうか。
トリッキーなテノールととともに華やかな感じの曲です。
(第2声部のホルンには高音無理させすぎですね。)
今年もなんとか新年のMIDIだけは死守しました。
実はハード面で多少トラブルが発生していて、mp3 はモノラルでしか録音できませんでした。
そんなこんなで今年もどうなることやらという感じですが、どうぞ宜しくお願いいたします。
2016年01月01日
2015年05月06日
PC renewal
皆様、またまた大変ご無沙汰しております。
さて、長年使ってきたPCの挙動が最近おかしくなってきました。
ときどきなんの前触れもなくフリーズします。(フリーズとはそういうものですが。)
おそらくハードの問題で、だいぶ長いこと使っているから無理もないかと思いつつ記録を調べてみたら、ほぼ8年間使い倒してきたことが判明しました。
まうかめ堂日記:CPU & マザーボード交換のはなし
このまま使い続けてある日お亡くなりになられるのはちょっと困るので、というのはこまめにバックアップは取っているものの、積んでるHDDが今はとんと見なくなったIDE接続で、前みたいにマザーが壊れたらぶっこ抜いて新しいマザーに挿せばいいという状況ではないからです。
(いざとなればIDE-SATA変換プラグなんてものもあるようですが、まあそれはそれで不安な感じです。)
というわけでPCを新調することにしました。
いくつか可能性を考えた結果、やはりというか結局というかDOS/V機を組み立てて、再びLinuxマシンにすることに…。
以下構成の記録です。
CPU: Intel Core i7-4970K
マザー: ASUS H97-PRO
メモリ: ADATA 4G x 2
CPU cooler: 刀4
HDD: Seagate バルク 2T
DVD: ASUS バルク
ケース: CORSAIR Carbide series 100R Silent
電源: くろしこ金500W
以上が新調したものです。
今回初めて電源を別に買い、CPU cooler なるものを初めて買いました。
グラフィックはいまのところ内蔵のもので済ませています。
十分いけてます。(グラフィックカードを新しく導入する以前に、ディスプレイが既に10年ものなのでこれを新しくしない限り新しいカードを買う意味がないというのがあります。)
それから最近のマザーの内蔵のサウンド機能も結構いけるなとおもいました。
でも、まだ長年使い続けている SoundBlaster Audigy 2 の方が若干音質が良いので、前PCからぶっこ抜いて新PCに挿しました。
(この SB Audigy も11年以上使っていることが判明。これからもどうぞ宜しく。そろそろマザーボードからただのPCIが消えつつあるので次は無いですね。残念ですが。)
入れるLinuxもそろそろ Ubuntu に乗り換えとも思ったのですが、これも結局慣れているからという理由で再び Debian に…。安定版の新バージョン Debian 8 Jessie がちょうど出たところなのでタイムリーといえばタイムリー???
新マシンが出来たところで命名です。
命名: guido.arezzo (グイード・ドット・アレッツォ、guido がPC名で arezzo はドメイン名)
ちなみに、これまでのPCの名前は
98年頃 Vine Linux 1.0: pynchon(ピンチョン)、pynchon.vineland
00年頃 Vine Linux 2.0?: machaut(マショー)、machaut.ars.nova
02年 Debian GNU/Linux 3.0 woody: dufay (デュファイ)
07年 Debian GNU/Linux 4.0-7(etch, lenny, squeeze, wheezy): ciconia (チコーニア)
でした。
さて、長年使ってきたPCの挙動が最近おかしくなってきました。
ときどきなんの前触れもなくフリーズします。(フリーズとはそういうものですが。)
おそらくハードの問題で、だいぶ長いこと使っているから無理もないかと思いつつ記録を調べてみたら、ほぼ8年間使い倒してきたことが判明しました。
まうかめ堂日記:CPU & マザーボード交換のはなし
このまま使い続けてある日お亡くなりになられるのはちょっと困るので、というのはこまめにバックアップは取っているものの、積んでるHDDが今はとんと見なくなったIDE接続で、前みたいにマザーが壊れたらぶっこ抜いて新しいマザーに挿せばいいという状況ではないからです。
(いざとなればIDE-SATA変換プラグなんてものもあるようですが、まあそれはそれで不安な感じです。)
というわけでPCを新調することにしました。
いくつか可能性を考えた結果、やはりというか結局というかDOS/V機を組み立てて、再びLinuxマシンにすることに…。
以下構成の記録です。
CPU: Intel Core i7-4970K
マザー: ASUS H97-PRO
メモリ: ADATA 4G x 2
CPU cooler: 刀4
HDD: Seagate バルク 2T
DVD: ASUS バルク
ケース: CORSAIR Carbide series 100R Silent
電源: くろしこ金500W
以上が新調したものです。
今回初めて電源を別に買い、CPU cooler なるものを初めて買いました。
グラフィックはいまのところ内蔵のもので済ませています。
十分いけてます。(グラフィックカードを新しく導入する以前に、ディスプレイが既に10年ものなのでこれを新しくしない限り新しいカードを買う意味がないというのがあります。)
それから最近のマザーの内蔵のサウンド機能も結構いけるなとおもいました。
でも、まだ長年使い続けている SoundBlaster Audigy 2 の方が若干音質が良いので、前PCからぶっこ抜いて新PCに挿しました。
(この SB Audigy も11年以上使っていることが判明。これからもどうぞ宜しく。そろそろマザーボードからただのPCIが消えつつあるので次は無いですね。残念ですが。)
入れるLinuxもそろそろ Ubuntu に乗り換えとも思ったのですが、これも結局慣れているからという理由で再び Debian に…。安定版の新バージョン Debian 8 Jessie がちょうど出たところなのでタイムリーといえばタイムリー???
新マシンが出来たところで命名です。
命名: guido.arezzo (グイード・ドット・アレッツォ、guido がPC名で arezzo はドメイン名)
ちなみに、これまでのPCの名前は
98年頃 Vine Linux 1.0: pynchon(ピンチョン)、pynchon.vineland
00年頃 Vine Linux 2.0?: machaut(マショー)、machaut.ars.nova
02年 Debian GNU/Linux 3.0 woody: dufay (デュファイ)
07年 Debian GNU/Linux 4.0-7(etch, lenny, squeeze, wheezy): ciconia (チコーニア)
でした。
2015年01月02日
最古の「実用」オルガヌム
年末にスタンコ奥さんが興味深い記事を見つけてくれました。
Earliest known piece of polyphonic music discovered
実用的な用途で用いられた我々の知る限り最古のポリフォニー音楽が最近 British library で発見されたとのことです。
詳しくは上の記事を読んでいただくのが良いですが、少しだけこの発見の背景説明のようなことをしたいと思います。(言うまでもないことですが私の知識は限定的です。)
記事を読むと The earliest known practical example of polyphonic music ... has been found ... という一文が目に飛び込んできて、パッと見「最古のポリフォニーの発見か」というようにも見えるのですが、実はそうではなくて、ここでは practical という但し書きが必須です。つまり「実用的な用途で用いられたものとしては最古のポリフォニー」が新たに見つかったということです。
西暦900年ごろに書かれたものとのことです。
「じゃあ、実用でない(本当の)最古の例っていったい何なの?」という疑問が生じますが、それは音楽理論書の中に譜例として現れるポリフォニー曲として知られています。9世紀後半に書かれたと推定される「音楽提要 Musica Enchiriadis」や「学問提要 Scolica Enchiriadis」に現れる非常に素朴な平行オルガヌムの譜例が、「我々の知る本当に最古のポリフォニー曲」ということになるようです。
では「この発見以前に知られていた最古の実用ポリフォニー音楽って何っだったの?」かというと、それは11世紀半ば頃に成立したとされる「ウィンチェスターのトロープス集」に含まれるオルガヌム曲だそうです。
この「ウィンチェスターのトロープス集」はイングランド独特のネウマで書かれていて解読がほとんど出来てない状態だそうですが、内容的にはその少し後の「アキテーヌのポリフォニー」(1100年頃〜13世紀初頭)「カリクスティヌス写本」(1173年には成立)などに含まれるレパートリーと同程度に高度な自由オルガヌムの実例を含んでいるようです。
そこで、9世紀の音楽理論書に現れる素朴なオルガヌムの譜例と、11世紀以降突如大量に書き記される高度な超絶技巧オルガヌムの間の非常に大きなギャップがポリフォニー音楽の歴史における missing liik としてあったわけですが、今回の発見はそのギャップを埋める一つのピースということになりそうです。
上にも書きましたが、記事によると西暦900年ごろに書かれたものとのことで、9世紀の音楽理論書の成立の少し後ということになります。上の記事には解読した現代譜が掲載され、その演奏の YouTube が貼られています。
この演奏はぜひ聴いていただきたいのですが、4度の平行オルガヌムをベースに、それを音楽的にアレンジしたものになっています。
上述の「音楽提要」には Rex celi Domine maris undi soni という大抵の音楽史の本に載っているオルガヌムがありますが、発想としてはこれに近く、理論的に Rex celi として示されたオルガヌムのやり方は、こういう形で実践されたと考えると「なるほど」となる感じの音楽です。
確かにこれが本当なら大発見ですね。
発見者は Giovanni Varelli という人だそうですが、この曲の定旋律パート(vox principalis)の解読に関する記事が次で読めます。
Pitch, Rhythm and Text-Setting in Palaeofrankish Notation
オルガヌム全体に関する論文はまだ出版されていない(forth coming )ようですが、どういう経緯でこのような解読になったのか詳しく知りたいところです。
Earliest known piece of polyphonic music discovered
実用的な用途で用いられた我々の知る限り最古のポリフォニー音楽が最近 British library で発見されたとのことです。
詳しくは上の記事を読んでいただくのが良いですが、少しだけこの発見の背景説明のようなことをしたいと思います。(言うまでもないことですが私の知識は限定的です。)
記事を読むと The earliest known practical example of polyphonic music ... has been found ... という一文が目に飛び込んできて、パッと見「最古のポリフォニーの発見か」というようにも見えるのですが、実はそうではなくて、ここでは practical という但し書きが必須です。つまり「実用的な用途で用いられたものとしては最古のポリフォニー」が新たに見つかったということです。
西暦900年ごろに書かれたものとのことです。
「じゃあ、実用でない(本当の)最古の例っていったい何なの?」という疑問が生じますが、それは音楽理論書の中に譜例として現れるポリフォニー曲として知られています。9世紀後半に書かれたと推定される「音楽提要 Musica Enchiriadis」や「学問提要 Scolica Enchiriadis」に現れる非常に素朴な平行オルガヌムの譜例が、「我々の知る本当に最古のポリフォニー曲」ということになるようです。
では「この発見以前に知られていた最古の実用ポリフォニー音楽って何っだったの?」かというと、それは11世紀半ば頃に成立したとされる「ウィンチェスターのトロープス集」に含まれるオルガヌム曲だそうです。
この「ウィンチェスターのトロープス集」はイングランド独特のネウマで書かれていて解読がほとんど出来てない状態だそうですが、内容的にはその少し後の「アキテーヌのポリフォニー」(1100年頃〜13世紀初頭)「カリクスティヌス写本」(1173年には成立)などに含まれるレパートリーと同程度に高度な自由オルガヌムの実例を含んでいるようです。
そこで、9世紀の音楽理論書に現れる素朴なオルガヌムの譜例と、11世紀以降突如大量に書き記される高度な超絶技巧オルガヌムの間の非常に大きなギャップがポリフォニー音楽の歴史における missing liik としてあったわけですが、今回の発見はそのギャップを埋める一つのピースということになりそうです。
上にも書きましたが、記事によると西暦900年ごろに書かれたものとのことで、9世紀の音楽理論書の成立の少し後ということになります。上の記事には解読した現代譜が掲載され、その演奏の YouTube が貼られています。
この演奏はぜひ聴いていただきたいのですが、4度の平行オルガヌムをベースに、それを音楽的にアレンジしたものになっています。
上述の「音楽提要」には Rex celi Domine maris undi soni という大抵の音楽史の本に載っているオルガヌムがありますが、発想としてはこれに近く、理論的に Rex celi として示されたオルガヌムのやり方は、こういう形で実践されたと考えると「なるほど」となる感じの音楽です。
確かにこれが本当なら大発見ですね。
発見者は Giovanni Varelli という人だそうですが、この曲の定旋律パート(vox principalis)の解読に関する記事が次で読めます。
Pitch, Rhythm and Text-Setting in Palaeofrankish Notation
オルガヌム全体に関する論文はまだ出版されていない(forth coming )ようですが、どういう経緯でこのような解読になったのか詳しく知りたいところです。
2015年01月01日
謹賀新年
明けましておめでとうございます。
昨年も表立った更新が新年のMIDIのみということになってしまいました。
水面下では多少動いてはいるのですが、なかなかアウトプットとして出せません。
今年は前の記事に書いた「モンペリエ写本」に関係することをすこしやろうと考えています。
というわけで新年のMIDIは「モンペリエ写本」のモテトです。
(最近は本当になんでもYouTubeに上がっているので、わざわざMIDIを作って up しようという気がおきません。だけど新年のMIDIだけは恒例行事として続けたいとおもいます。)
それでは今年もどうぞよろしくお願いします。
昨年も表立った更新が新年のMIDIのみということになってしまいました。
水面下では多少動いてはいるのですが、なかなかアウトプットとして出せません。
今年は前の記事に書いた「モンペリエ写本」に関係することをすこしやろうと考えています。
というわけで新年のMIDIは「モンペリエ写本」のモテトです。
- Plus bele que flor/Quant revient/L'autrier joer/Flos Filius ( motet, 13th C )
- mp3: [Ver 1, mp3], [Ver 2, mp3]
- MIDI: [Ver 1, GM], [Ver 2, GM]
- mp3: [Ver 1, mp3], [Ver 2, mp3]
(最近は本当になんでもYouTubeに上がっているので、わざわざMIDIを作って up しようという気がおきません。だけど新年のMIDIだけは恒例行事として続けたいとおもいます。)
それでは今年もどうぞよろしくお願いします。
2014年12月28日
オルガヌム大全 & モンペリエ写本 in IMSLP
みなさん、ご無沙汰しております。
暮れも押し迫って参りましたがいかがお過ごしでしょうか?
さて、しばらく前に気づいたのですが、ペトルッチ楽譜ライブラリー(IMSLP)の中世パートが大変なことになっています。
どう大変かと言うと、ノートルダム楽派の集大成である「オルガヌム大全」(Magnus Liber Organi)と、13世紀フランスのモテトの一大コレクションの一つである「モンペリエ写本」(Montpellier Codex)の、まるごとそのままのPDFが up されているではないですかぁ!!!!
Magnus Liber Organi
Montpellier Codex
(ちなみにモンペリエ写本のページの下の方にまうかめ堂作の楽譜が上がっていて、今となってはちょっと恥ずかしいです。最初は別のところに上がっていたのですが、何年か前に吸収合併されてこういうことになっています。ときどき使われることもあるようなのでそのままにしています。)
しかし(こういうことに関しては)本当に素晴らしい時代になりました。
もう少し早くお伝えしたかったのですが今になってしまいました。
それではよいお年を。
暮れも押し迫って参りましたがいかがお過ごしでしょうか?
さて、しばらく前に気づいたのですが、ペトルッチ楽譜ライブラリー(IMSLP)の中世パートが大変なことになっています。
どう大変かと言うと、ノートルダム楽派の集大成である「オルガヌム大全」(Magnus Liber Organi)と、13世紀フランスのモテトの一大コレクションの一つである「モンペリエ写本」(Montpellier Codex)の、まるごとそのままのPDFが up されているではないですかぁ!!!!
Magnus Liber Organi
Montpellier Codex
(ちなみにモンペリエ写本のページの下の方にまうかめ堂作の楽譜が上がっていて、今となってはちょっと恥ずかしいです。最初は別のところに上がっていたのですが、何年か前に吸収合併されてこういうことになっています。ときどき使われることもあるようなのでそのままにしています。)
しかし(こういうことに関しては)本当に素晴らしい時代になりました。
もう少し早くお伝えしたかったのですが今になってしまいました。
それではよいお年を。
2014年09月15日
ヒリヤード・アンサンブル 東京最終公演
みなさま、ご無沙汰しております。
夏の暑さはどうやら過ぎ去ったようですが、天候がおかしなことになっている今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。
もうかれこれ数ヶ月前のことですが、ヒリヤード・アンサンブルが今年結成40週年を迎え、しかも今年いっぱいで解散するというショッキングなニュースが飛び込んできました。
「英国式アカペラ古楽」の華々しい歴史もいよいよ幕引きとなってしまうのかぁ、としみじみしていたところ、彼らの最後の世界巡業で東京で一度だけ公演するというではありませんか!
これは絶対に外せないということで、スタンコ奥さんと行って参りました。
ヒリヤード・アンサンブル ア・カペラ・コンサート@武蔵野文化
よくよく思い返してみるとヒリヤードのコンサートに行くのはこれが3回目です。
いずれも2000年代だった思いますが、過去に二回行っています。
確か一回目はクリストフ・ポッペン(Vn)と一緒の Morimur 巡業のとき、二回目は今回と同じ武蔵野文化で、そのときはペロタンと細川俊夫をやっていました。
それで今回、まず前半はエストニアの作曲家ヴェリヨ・トルミスという人の1996年の曲に始まり、コーニッシュやアルカデルトなどのルネサンス期の歌曲を歌った後、細川俊夫の日本民謡編曲(南部牛追歌、さくら、五木の子守歌)でおわるという構成でした。
で、演奏を聞いてみると、もうだいぶメンバー全員の年齢が上がったせいか、息が続かない、音程がキープできないなどのヒリヤードらしからぬ光景が散見されたというのはありますが、ヒリヤード独特の響きの美しさは全く失われておらず、例えば細川俊夫の民謡編曲は圧巻の美しさでした。
そして後半は、ペロタンの Viderunt omnes に始まり、コーニッシュ、ペルトと続き、なんとアルメニア聖歌の編曲(コミタス・ヴァルダペット, 1869-1935, という人の編曲)、そしてペルトで終わるというものでした。
で、この後半、冒頭のペロタンで一気にエンジンがかかった感じで、その後はフルスロットルな演奏が続き、「なんだ、まだまだ全然いけんじゃん…」、「これで解散はやはりもったいない…」という展開。
例えばアルヴォ・ペルトの声楽曲はヒリヤード以外の演奏というのが想像しにくい曲が多く、実際、よほどうまい団体でないかぎりダメで、ヒリヤード以外の団体の大抵のペルトの曲の演奏は悲惨なものになるというのがあります。
ヒリヤードが解散してしまったら、ペルトの曲は誰が演奏できるというのだろう、とか思いながらききました。
アルメニア聖歌は、絶妙に exotic で、仮にこういうのが西方教会の聖歌に含まれていたら西洋音楽のありようが随分変わっていたのかもしれない、なんてことを思いました。例えば教会旋法の理論はさらにややこしいことになっていたでしょうね。
そしてアンコールの一曲目は細川俊夫の「さくら」をもう一度。
これも前半での演奏より格段に上がっていました。
これで終わりかなと思っていたら、アンコールをもう一曲やってくれました。
曲はなんと Thomas gemma という14世紀イギリスのモテトです。まうかめ堂的にはこれは感動ものです。
なぜなら、この曲の入っている Medieval English Music というディスクは、私が持っているヒリヤードのディスクの中で最も好きなものだったからです。
(1983年録音です。ECM以前のものです。多分ヒリヤードが世界的にメジャーになったのはECMレーベルでディスクを出すようになってからだろうと思いますが、古楽のディスクではECMヒリヤードにあまり良い印象は持っていません。
Perotin は良いです。というかPerotinの演奏の一つのお手本として勧められるものが他にほとんどないからですが、それでもときどきECM臭さが顔を出すのが珠に傷です。
最悪のものは Jan Garbarek と共演した Officium です。しかもこれが売れてしまったのだから「なんだかななあ」という感じでした。結局誰も古楽なんかに興味はなくて、ambient 化するみたいなことをしないとだれも古楽なんて聴かないのだということを物語っているような哀しいディスクでした。
そんなECMヒリヤード古楽で例外的に一つだけ素晴らしいディスクがあります。 Codex Specialnik, 1500年頃のプラハの宗教音楽のディスクです。これだけはECMは偉いと思いました。
古楽以外ではECMヒリヤードがアルヴォ・ペルトを遍く天下に知らしめたことは 大変良いです。)
脱線しました。
アンコールのThomas gemma の話をしていました。
最近はなんでもYouyubeに上がっていますがこの曲もありました。
Thomas gemma Cantuarie
最後の曲がこの曲で余計に感慨深かったヒリヤードさよならコンサートでした。
なおこの演奏会は確か11月3日の早朝?にNHK BS3 で放送されるようです。みなさん見ましょう。
夏の暑さはどうやら過ぎ去ったようですが、天候がおかしなことになっている今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。
もうかれこれ数ヶ月前のことですが、ヒリヤード・アンサンブルが今年結成40週年を迎え、しかも今年いっぱいで解散するというショッキングなニュースが飛び込んできました。
「英国式アカペラ古楽」の華々しい歴史もいよいよ幕引きとなってしまうのかぁ、としみじみしていたところ、彼らの最後の世界巡業で東京で一度だけ公演するというではありませんか!
これは絶対に外せないということで、スタンコ奥さんと行って参りました。
ヒリヤード・アンサンブル ア・カペラ・コンサート@武蔵野文化
よくよく思い返してみるとヒリヤードのコンサートに行くのはこれが3回目です。
いずれも2000年代だった思いますが、過去に二回行っています。
確か一回目はクリストフ・ポッペン(Vn)と一緒の Morimur 巡業のとき、二回目は今回と同じ武蔵野文化で、そのときはペロタンと細川俊夫をやっていました。
それで今回、まず前半はエストニアの作曲家ヴェリヨ・トルミスという人の1996年の曲に始まり、コーニッシュやアルカデルトなどのルネサンス期の歌曲を歌った後、細川俊夫の日本民謡編曲(南部牛追歌、さくら、五木の子守歌)でおわるという構成でした。
で、演奏を聞いてみると、もうだいぶメンバー全員の年齢が上がったせいか、息が続かない、音程がキープできないなどのヒリヤードらしからぬ光景が散見されたというのはありますが、ヒリヤード独特の響きの美しさは全く失われておらず、例えば細川俊夫の民謡編曲は圧巻の美しさでした。
そして後半は、ペロタンの Viderunt omnes に始まり、コーニッシュ、ペルトと続き、なんとアルメニア聖歌の編曲(コミタス・ヴァルダペット, 1869-1935, という人の編曲)、そしてペルトで終わるというものでした。
で、この後半、冒頭のペロタンで一気にエンジンがかかった感じで、その後はフルスロットルな演奏が続き、「なんだ、まだまだ全然いけんじゃん…」、「これで解散はやはりもったいない…」という展開。
例えばアルヴォ・ペルトの声楽曲はヒリヤード以外の演奏というのが想像しにくい曲が多く、実際、よほどうまい団体でないかぎりダメで、ヒリヤード以外の団体の大抵のペルトの曲の演奏は悲惨なものになるというのがあります。
ヒリヤードが解散してしまったら、ペルトの曲は誰が演奏できるというのだろう、とか思いながらききました。
アルメニア聖歌は、絶妙に exotic で、仮にこういうのが西方教会の聖歌に含まれていたら西洋音楽のありようが随分変わっていたのかもしれない、なんてことを思いました。例えば教会旋法の理論はさらにややこしいことになっていたでしょうね。
そしてアンコールの一曲目は細川俊夫の「さくら」をもう一度。
これも前半での演奏より格段に上がっていました。
これで終わりかなと思っていたら、アンコールをもう一曲やってくれました。
曲はなんと Thomas gemma という14世紀イギリスのモテトです。まうかめ堂的にはこれは感動ものです。
なぜなら、この曲の入っている Medieval English Music というディスクは、私が持っているヒリヤードのディスクの中で最も好きなものだったからです。
(1983年録音です。ECM以前のものです。多分ヒリヤードが世界的にメジャーになったのはECMレーベルでディスクを出すようになってからだろうと思いますが、古楽のディスクではECMヒリヤードにあまり良い印象は持っていません。
Perotin は良いです。というかPerotinの演奏の一つのお手本として勧められるものが他にほとんどないからですが、それでもときどきECM臭さが顔を出すのが珠に傷です。
最悪のものは Jan Garbarek と共演した Officium です。しかもこれが売れてしまったのだから「なんだかななあ」という感じでした。結局誰も古楽なんかに興味はなくて、ambient 化するみたいなことをしないとだれも古楽なんて聴かないのだということを物語っているような哀しいディスクでした。
そんなECMヒリヤード古楽で例外的に一つだけ素晴らしいディスクがあります。 Codex Specialnik, 1500年頃のプラハの宗教音楽のディスクです。これだけはECMは偉いと思いました。
古楽以外ではECMヒリヤードがアルヴォ・ペルトを遍く天下に知らしめたことは 大変良いです。)
脱線しました。
アンコールのThomas gemma の話をしていました。
最近はなんでもYouyubeに上がっていますがこの曲もありました。
Thomas gemma Cantuarie
最後の曲がこの曲で余計に感慨深かったヒリヤードさよならコンサートでした。
なおこの演奏会は確か11月3日の早朝?にNHK BS3 で放送されるようです。みなさん見ましょう。
2014年01月02日
謹賀新年
あけましておめでとうございます。
昨年はMIDIの旧作のmp3化をいくつかと教会旋法の最後のページを書いてとりあえずの区切りをつけて終わらせました。
旋法みたいな厄介なテーマを扱っているとどんどん重くなってくるのでこれからはもう少しフットワークを軽くしたいです。
さしあたり Ars nova, Trecent の記譜法でもやろうかとも思いますがどうなるかわかりません。
更新は今年も「極めて緩やか」になると思いますので、気が向いた時にでものぞいていただけるとなにか変化があるかもしれません。
新年のMIDIは(もういい加減MIDIの時代ではないですが)、13世紀イングランドの2声曲 Edi beo thu hevene queene (Blessed be thou, queen of heaven) です。名旋律です。3度が美しいです。
それでは今年もどうぞよろしくお願いします。
昨年はMIDIの旧作のmp3化をいくつかと教会旋法の最後のページを書いてとりあえずの区切りをつけて終わらせました。
旋法みたいな厄介なテーマを扱っているとどんどん重くなってくるのでこれからはもう少しフットワークを軽くしたいです。
さしあたり Ars nova, Trecent の記譜法でもやろうかとも思いますがどうなるかわかりません。
更新は今年も「極めて緩やか」になると思いますので、気が向いた時にでものぞいていただけるとなにか変化があるかもしれません。
新年のMIDIは(もういい加減MIDIの時代ではないですが)、13世紀イングランドの2声曲 Edi beo thu hevene queene (Blessed be thou, queen of heaven) です。名旋律です。3度が美しいです。
- Edi beo thu, hevene quene ( 13th C )
- mp3: [mp3, 1.7M],
- MIDI: [GM], [SC-88]
それでは今年もどうぞよろしくお願いします。
2013年01月01日
謹賀新年
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
とうとう昨年は新年のMIDIが唯一の更新となってしました。
今年は昨年に比べ少し余裕ができそうですのでもう少し何かする予定です。
さしあたり旋法のページを補完することを考えていますが、いまのところどういう形になるかわかりません。
(ルネサンスの特に多声音楽の旋法理論まである程度やってグラレアヌスまで持ってこれれば良いのでしょうがなかなかにしんどいものがあります。)
新年のMIDIはバンベルク写本(13世紀)のホケトゥスです。こういうのは作っていて楽しいですね。
今年もよろしくお願いします。
とうとう昨年は新年のMIDIが唯一の更新となってしました。
今年は昨年に比べ少し余裕ができそうですのでもう少し何かする予定です。
さしあたり旋法のページを補完することを考えていますが、いまのところどういう形になるかわかりません。
(ルネサンスの特に多声音楽の旋法理論まである程度やってグラレアヌスまで持ってこれれば良いのでしょうがなかなかにしんどいものがあります。)
新年のMIDIはバンベルク写本(13世紀)のホケトゥスです。こういうのは作っていて楽しいですね。
- In seculum d'Amiens longum (hoquetus, Codex Bamberg)
- mp3: [mp3, 3.7M],
- MIDI: [GM], [SC-88]
- mp3: [mp3, 3.7M],
2012年01月01日
謹賀新年
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
とうとう昨年は作ったMIDIが新年のMIDI一本ということになってしました。今年は昨年以上に生活がばたばたすることになっていますので昨年程度に何かできれば良い方かと思います。半年に一度ぐらい覗いていただけると何か変化があるかもしれません。
新年のMIDIはアルス・スブティリオールの「鳥の歌」 Or sus vous dormez trop です。大昔に作ったもののリメイクです。
今年もよろしくお願いします。
とうとう昨年は作ったMIDIが新年のMIDI一本ということになってしました。今年は昨年以上に生活がばたばたすることになっていますので昨年程度に何かできれば良い方かと思います。半年に一度ぐらい覗いていただけると何か変化があるかもしれません。
新年のMIDIはアルス・スブティリオールの「鳥の歌」 Or sus vous dormez trop です。大昔に作ったもののリメイクです。
- Or sus vous dormez trop (virelai)
- mp3: [mp3, 4.2M], [Organ, mp3, 4.2M],
- MIDI: [GM], [SC-88]
- mp3: [mp3, 4.2M], [Organ, mp3, 4.2M],
2011年05月23日
Papalinさんのすごすぎるサイト
一週間ほど前にリコーダー奏者の Papalinさんから、まうかめ堂作の楽譜で Congaudeant Catholici をリコーダーで演奏しました、というメールをいただきました。で、参照されてるURLへ行ってみたら、すごいことになっているではありませんか!!!
どこからどういう風に紹介したら良いものかわからないくらい凄いので、取りあえず次のところに行ってみて下さい。
IL DIVO "Papalin" --- パパリンの音楽の全て > 中世ヨーロッパの音楽(ルネサンス以前)
ここだけでもかなりの量の曲のリコーダー演奏がストリーミング配信されているのですが、とりあげられてるレパートリーが素晴らしすぎます!!!
なんと古代ギリシアの「セイキロスの墓碑銘」に始まり、ビンゲン、初期ポリフォニー、ノートル・ダム楽派(レオナン、ペロタン)、13世紀のモテト、カルミナブラーナ、聖母マリアのカンティガ、モンセラートの朱い本、マショー、ダンスタブル、デュファイ、アルス・スブティリオール、セルデン写本のキャロルなどが、所狭しと並んでいます。
凄すぎます。
このページだけで、中世音楽の音による紹介というまうかめ堂の果たせなかった夢が理想的な形で実現されています。
本当に素晴らしい!!
まうかめ堂作の現代譜はすべて演奏して下さっているようです。
しかも Congaudeant Catholici のバージョン違いだけでなく、「夏は来たりぬ」Sumer is icumen in の Bukofzer による二分割リズム版まで演奏してくださっていて、感動ものです。
本当に語りつくせませんが、この充実したレパートリーの中から特に特に感銘を受けたものを数曲だけあげますと、ペロタンの4声のオルガヌムやマショーのノートルダムミサあたりでしょうか。
実に聞きごたえのある演奏をして下さっています。
一般的に言って中世の曲は、(少なくとも楽譜の現存しているものは)声楽曲として書かれていることが多いわけですが、実際に歌おうとするとエラく難しいというか、「これって本当に歌う曲なの?」という感じ曲ばかりだと言ってもよいかもしれません。
だからペロタンもノートルダムミサも、下手な声楽団体が下手に歌うと結構悲惨なことになります。よっぽど上手い団体でないと歌いこなせる曲ではないように思います。
それで、私は常々中世音楽の多くの曲は下手に歌うよりは、器楽で、特にリコーダーなどの管楽器で演奏する方が聞き映えがするという感じがしていて、まうかめ堂のMIDIも管楽器を中心に作ってあることが多いですが、Papalin さんはリコーダーで非常に魅力的に実演されています。
ペロタンもノートルダムミサも他の曲もこれが正解なんじゃないかっていう感じです。
さて、これまでPapalinさんのサイトの中世音楽のページについてのみ書いてきましたが、Home へ上がれば中世以外の音楽のさらなる広大な世界が広がっています。
みなさん是非訪れてみてください。
どこからどういう風に紹介したら良いものかわからないくらい凄いので、取りあえず次のところに行ってみて下さい。
IL DIVO "Papalin" --- パパリンの音楽の全て > 中世ヨーロッパの音楽(ルネサンス以前)
ここだけでもかなりの量の曲のリコーダー演奏がストリーミング配信されているのですが、とりあげられてるレパートリーが素晴らしすぎます!!!
なんと古代ギリシアの「セイキロスの墓碑銘」に始まり、ビンゲン、初期ポリフォニー、ノートル・ダム楽派(レオナン、ペロタン)、13世紀のモテト、カルミナブラーナ、聖母マリアのカンティガ、モンセラートの朱い本、マショー、ダンスタブル、デュファイ、アルス・スブティリオール、セルデン写本のキャロルなどが、所狭しと並んでいます。
凄すぎます。
このページだけで、中世音楽の音による紹介というまうかめ堂の果たせなかった夢が理想的な形で実現されています。
本当に素晴らしい!!
まうかめ堂作の現代譜はすべて演奏して下さっているようです。
しかも Congaudeant Catholici のバージョン違いだけでなく、「夏は来たりぬ」Sumer is icumen in の Bukofzer による二分割リズム版まで演奏してくださっていて、感動ものです。
本当に語りつくせませんが、この充実したレパートリーの中から特に特に感銘を受けたものを数曲だけあげますと、ペロタンの4声のオルガヌムやマショーのノートルダムミサあたりでしょうか。
実に聞きごたえのある演奏をして下さっています。
一般的に言って中世の曲は、(少なくとも楽譜の現存しているものは)声楽曲として書かれていることが多いわけですが、実際に歌おうとするとエラく難しいというか、「これって本当に歌う曲なの?」という感じ曲ばかりだと言ってもよいかもしれません。
だからペロタンもノートルダムミサも、下手な声楽団体が下手に歌うと結構悲惨なことになります。よっぽど上手い団体でないと歌いこなせる曲ではないように思います。
それで、私は常々中世音楽の多くの曲は下手に歌うよりは、器楽で、特にリコーダーなどの管楽器で演奏する方が聞き映えがするという感じがしていて、まうかめ堂のMIDIも管楽器を中心に作ってあることが多いですが、Papalin さんはリコーダーで非常に魅力的に実演されています。
ペロタンもノートルダムミサも他の曲もこれが正解なんじゃないかっていう感じです。
さて、これまでPapalinさんのサイトの中世音楽のページについてのみ書いてきましたが、Home へ上がれば中世以外の音楽のさらなる広大な世界が広がっています。
みなさん是非訪れてみてください。